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興味深いパラダイムに対する考えを積み重ねる場にしたいです.


by patyakatya
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奥行きの単位

あらゆる呪物に対して予感される奥深さの,奥行きの単位とはどのようなものなんだろう?歴史的な奥深さ?地理的な奥深さ?費やされた時間の奥深さ?時間的,空間的な奥深さが確かに大切であるように思えるのは,例えば一つの小石に宇宙を喚起される人間の心的働きを思い起こすことができるからである.宇宙が永く広大でなければ,このような想像は生まれないだろう.

ところで澁澤龍彦の「胡桃の中の世界」によると,コクトーは「ある物体を大きいとか小さいとかいうのは間違いで,近いとか遠いとかいうべきだ」と考えていたらしい.奥行きという感覚は当然「近い・遠い」の感覚であり,「大きい・小さい」の感覚じゃあない.クサマトリックスにあったLEDと合わせ鏡に包まれた梯子の作品を思い起こすと,コクトーの言っていることは凄く良く解る.
今は生態心理学が動物に適切な単位系を再構築するべく頑張っているけど(といっても流石に呪物の奥行きの単位については研究していないと思うけど),ギブソンよりも随分前に生きたコクトーのこの言葉も,ギブソンの著作に似た「解りやすさ」を感じさせると僕は思う.この「解りやすい」ということは生態心理学にとって重要なポイントであるから,そういう意味でコクトーを同じ感じに捉えても良いんだろうなと思っています.
by patyakatya | 2005-02-04 01:57 | 遠近法